第二回目のリサイタルを開催させて頂く事となりました。横山勝也先生伝承の古典本曲を中心に吹奏します。また 特別出演に普化正宗総本山 明暗寺 四十二世看首 清庵玄心 先生をお迎えし、「明暗寺伝 鹿遠音」を共演させて頂きます。深遠なる尺八の世界をお楽しみいただければと思います。
【タイトル】
令和元年度(第74回)文化庁芸術祭参加公演
第二回 小濱明人尺八リサイタル「 寂静光韻 Ⅱ」
【開催日】
2019年10月17日(木)
【場 所】
渋谷区 代々木上原 MUSICASA
【出演者】
小濱明人(尺八)
【特別出演】
清庵玄心(尺八/明暗四十二世)
【曲 目】 1、打波
2、鶴の巣籠り
3、吾妻獅子
4、産安
5、山谷
6、明暗寺伝 鹿遠音
7、松厳軒鈴慕
「寂静光韻Ⅱ」コンサートレヴュー/フシミススム(編集者)
小濱明人は“絵”になる人だ。
なにしろ佇まいが美しい。パッと目につく派手さはなくとも、その立ち姿にはどこか気品があって、身体のブレや無駄な動きがほとんど見当たらないのだ。それはちょうど、スポーツ選手が理想とするフォームにも通じるのではないかと思う。たとえばサッカー選手であれば、ドリブルするときに背筋をピンと伸ばしたままピッチを見渡せること。野球のバッターならスイングしたときに目線を水平に保てること。当然、尺八のフォームにも思いどおりの音色を合理的に出すための作法があるにちがいないが、あの精悍な立ち姿と自在なテクニックもおそらく不可分の関係にあるのだろう。
音楽の佇まいも美しい。尺八という楽器はさまざまに千変万化する音色が持ち味だから、それこそ何にでもフィットする。民謡に適しているのはもちろん、ジャズをやればジャズの表情になるし、ロックや現代音楽もしかり。実際、小濱はこれまであらゆるジャンルの音楽を颯爽と、しなやかに吹きこなしてきた。そしてこれからも、新しいことに積極的なスタンスは変わらないだろう。
だが彼は、こうも言っている。自分の根っこは古典本曲にあると。立ち戻るべき場所は、江戸時代に各地の虚無僧が大成した伝承曲なのだ。ここには尺八を尺八たらしめる技法の数々、精神が宿っている。だから創作にしろ即興にしろ、古典本曲の強固な土台があれば本質に変わりはないのかもしれない。枝葉と根っこは切っても切り離せないものだ。
ところで音楽の聴き方は人それぞれだが、取っ掛かりは録音であることが多い。気になる音楽をチェックしたければ、まずは動画サイトで検索して視聴してみる。ワンクリックでいくらでも再生できるしとても便利だ。だがその反面、切り取られた映像と音声だけで全てを知ったような感覚に陥ってしまうことがある。ときに強力なバイアスとなって聴く耳の妨げになることだってある。
去年そして今年と、小濱明人のリサイタルを客席で体感させてもらった。そこでつくづく印象に残ったのが、彼の“絵”になる佇まいだった。身体の所作、複雑に絡みあう倍音、息づかい、残響、音と音の間。かつてベンヤミンは、こうした芸術の体感を「アウラ」と呼んだらしい。奏者と聴衆が同じ空間のなかで、ひとつの音楽を共有する。それはとても幸せな瞬間だ。ただしその瞬間は一度きり。録音のように再生できない。だからなおさら美しく感じるのかもしれない。
令和の時代のその瞬間に、江戸時代の古典本曲を聴くこと。その意味を考えるとき、時間は絶えず未来に向かって流れていることに気づかされる。伝承は決してコピーではない。変わり続ける。そこに小濱明人の尺八の真価があるのだと思う。来年はいったい、どんな佇まいを見せてくれるだろうか。今からその瞬間を楽しみに待ちたい。
Akihito Obama "The 2nd Shakuhachi Recital"
The 74rd Agency for Cultural Affairs National Arts Festival
I will hold a solo shakuhachi recital this year again. I was possessed by the charm of the shakuhachi, and I have been here led by shakuhachi. Once again I will face "HONKYOKU" that is the origin of the shakuhachi and I will challenge the diverse and deep world. Also,the special guest is Genshin SEIAN sensei who is the 42nd director of the Seishu Fuke Kyoreizan Myōan Temple.
[Date]
Tuesday, October 17, 2019
[Venue]
MUSICASA
[Program]
1. Daha
2. Tsuru no Sugomori
3. Azuma Jishi
4. San-an
5. Sanya (Mountain-Valley)
6. Shika no Tōne (Myoanji Temple den)
7. Shōganken Reibo
[Artist]
Akihito Obama (Shakuhachi)
Special Guest : Genshin SEIAN (Shakuhachi) from Myōan Temple #6