古典本曲集「寂静光韻」特設サイトにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
「寂静光韻（じゃくじょうこういん）」とは、私が古典本曲を吹奏している時に見える心象風景であり、「静寂の中、かすかに射しこんでくる光」を意味する私の造語です。深遠な本曲の世界に迷い込みそうになるたび、この光を頼りに答えを見つけようともがき続けて来ました。
また、定期的に行なっている「尺八の源流を巡る旅」では、全国の本曲・虚無僧ゆかりの地を訪ね献奏してきましたが、様々な命題に直面し苦しみました。なぜなら、尺八の歴史や伝説にまつわる「虚と実」、多様すぎる伝承、吹禅と音楽の差異に自分なりの答えを見つけられなかったからです。そんな中、突然襲ってきた先の見えないコロナ禍。
ところが、その状況下において私を救ってくれたのも古典本曲でした。不安定な日々が続くなか尺八を吹き続けるうちに、様々な困難・苦悩の状況下で吹き伝えられてきた本曲の持つ「浄化の力」を実感し、音色・間、静と動が複雑に絡み合う独自の美の世界に助けられたのです。
この三部作を制作する中で、本当に多くの気づきや発見がありました。まだまだ本曲の旅は続きますが、現時点での私の思いを込められたのではないかと思います。制作にあたりご協力下さいましたすべての方に感謝いたします。
小濱明人
小濱明人 (おばま あきひと) 尺八演奏家
香川県高松市生まれ。琴古流尺八および古典本曲 (横山勝也伝) を石川利光に師事。民謡尺八を米谷智に師事。NHK邦楽技能者育成会修了。NHK邦楽オーディション合格。尺八新人王決定戦優勝。国立劇場主催「明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会」出演。
「四国八十八ケ所 歩き遍路」を行い、各寺で献奏を行った。アジアン・カルチュラル・カウンシルの奨学金を得てNYへ留学。ワールド尺八フェスティバル (東京/シドニー/ロンドン) 、国際尺八フェスティバル (プラハ) 、ラ・フォル・ジュルネ (東京/フランス)、ジャパンフェスティバル (ワシントン) 他多くの国際音楽祭に招待参加。海外公演は計37カ国に及ぶ。また尺八の源流を探るため、
ソロ活動の他「LOTUS POSITION」「The Shakuhachi 5」 伊藤多喜雄「TAKiO BAND」等、数々のグループに参加。石の会、智竹会、虚無僧研究会、（一社）日本尺八演奏家ネットワーク (JSPN) 会員。学習院大学非常勤講師。
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